業務マニュアルの運用・更新を仕組み化する方法

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実は業務マニュアルは制作すること以上に、運用し続けることの方が難しいのです。

社会やテクノロジー、環境の変化に応じて、業務内容や社内ルールもまた変化します。それに合わせてマニュアルが更新されなければ、現場とのズレが生じ、やがて参照されなくなってしまいます。

業務マニュアルは更新されなければ価値が徐々に損なわれ、やがて混乱の原因になるかもしれません。

業務マニュアルを組織の知的財産として活用し続けるためには、「更新される仕組み」を作る必要があります。

本記事では、マニュアルが更新されない理由を整理した上で、継続的な運用を実現するための仕組みづくりについて解説します。

目次



マニュアルが更新されない理由

業務マニュアルが形骸化する最大の原因は、更新されなくなることです。

現場で作業が変わったのに、業務マニュアルがなかなか更新されなければ、時間の経過とともに現場とのズレが生じ、やがて誰も見なくなってしまいます。古くなったマニュアルは、もはや嘘が書かれているマニュアルだからです。

では、なぜマニュアルは更新されなくなるのでしょうか。

その代表的な原因を見てみましょう。

担当者の不在

業務マニュアルの更新が止まる最も大きな理由のひとつが、更新担当者が誰なのかうやむやなまま運用を続けていることです。

現場で業務内容の変更やルール改定が発生しても、「更新担当者」が決まっていなければ、現場は誰に情報を挙げたらいいのか分かりません。逆に現場に対して変更点がないか呼びかける人もいません。

その上、

などにより、マニュアル制作時の体制が崩れていると、さらに更新の停滞が長引く可能性が高まります。

更新を主導する者がいないと、現場では新しい工程や作業手順が定着しているにもかかわらず、マニュアルだけが古いまま残る状態が発生します。それが長引くほど現場では属人化が進みます。

業務マニュアルの鮮度を保つためにも、運用後の管理体制は事前に考案し、体制維持を引継ぎ項目に組み込むことが重要なのです。

更新ルールがない

更新担当者が存在していても、更新ルールが定められていなければ継続的な運用は難しくなります。

そういったルールを決めておかなければ運用は停滞します。

ちなみに「気付いた人が都度更新する」という運用は、ルールが無いのと同義で、責任の所在も不明になるので、採用しないでください。

業務マニュアルは組織全体で活用する資料だからこそ、組織で更新する手順をルール化しておくことが大切です。更新作業を日常業務の一部として組み込むことが、継続運用の第一歩と言えるでしょう。



運用が回る仕組みとは

業務マニュアルを継続的に活用するためには、「更新しよう」という意識だけでは不十分です。

担当者の異動や業務の繁忙期など、更新が停滞する要因はいつでも起こりえます。そんな時でも対応できるように、担当者任せにしない、組織だった仕組みを作り上げておく必要があります。

ここでは、マニュアル運用を定着させるための基本的な考え方を紹介します。

責任者の明確化

業務マニュアルの運用では、誰が何をしなければいけないのか、責任を明確にすることが重要です。

責任者が決まっていないと、内容の更新が必要になっても対応が遅れやすくなります。また、複数人で管理している場合では、最終決裁者が不明確だと、更新作業が滞る原因になります。

など、それぞれの役割をあらかじめ決めておくことが望ましく、できれば役職者がそれらを務めると理想的です。重要なのは、「誰かがやってくれるはず」という状態をなくし、管理体制を見える化することです。

更新フローの設計

責任者を決めるだけでは、継続的な運用は実現できません。

業務内容の変更が発生した際に、どのような手順でマニュアルを更新するのかをあらかじめ決めておくことが重要です。

例えば、PDFマニュアルを運用している場合は、

  1. 業務変更が発生する
  2. 実務責任者からすべてのマニュアル更新関係者へ業務の変更内容を共有する
  3. 最終決裁者がマニュアル更新の内容を決める
  4. 業務マニュアル管理責任者がマニュアルを修正する
  5. 現場で内容をレビューする
  6. 最終決裁者が更新されたマニュアルを承認する
  7. 業務マニュアル管理責任者が閲覧用PDFを上書きする
  8. 業務マニュアル管理責任者が全社にアナウンスする

というようなフローを関係者で共有すると良いでしょう

また、更新のタイミングについてもルールが必要です。

これらは採用している媒体の特性に合わせて取り決める必要があります。

例えば紙媒体での運用の場合は、印刷コストを考えると年に1回の見直しが妥当です。さらにこの場合は、業務マニュアルの見直しを年間行事に組み入れ、業務のPDCAサイクルの一環とすると会社の発展課題の一部として推進され、遅滞することもなくなるでしょう。



更新しやすいマニュアル設計

業務マニュアルのマスターデータが更新しにくい構造になっていると、更新作業に余分な労力と時間がかかってしまいます。少ないリソースで更新作業をこなすためにも、導入段階から更新のしやすさを考慮したデータを構築しておくことが望まれます。

ここでは、更新作業の省力化を実現するマニュアル設計のポイントを紹介します。

更新しやすい構造設計

更新しやすい業務マニュアルには、分かりやすく整理された構造があります。

以上のようなマニュアルは修正すべき箇所を見つけやすく、ピンポイントの修正で済む可能性も高まります。

一方、更新時に修正漏れが発生しやすいマニュアルの特徴は以下の通りです。

また、見出しスタイルや自動目次、相互参照などの編集機能を適切に活用しておくことも、更新作業の効率化につながります。

例えば、見出しスタイルを統一しておけば目次を自動生成できるため、章構成の変更にも対応しやすくなります。また、関連ページへの参照を相互参照機能で設定しておけば、ページ番号が変わっても修正漏れを防ぎやすくなります。

業務マニュアルは一度作って終わりではなく、長期間にわたって更新され続ける資料です。そのため、作成時には見た目だけでなく、将来の更新作業まで見据えた設計が重要になります。

分割・モジュール化

業務マニュアルを更新しやすくする方法として有効なのが、分割・モジュール化です。

すべての情報を一冊の大きなマニュアルにまとめると、一部の業務変更でも広範囲の修正が必要になる場合があります。

そこで以下のようなカテゴリーで、分冊することをお勧めします。

分冊化により、必要な箇所だけを効率的に更新できるようになります。

ある程度細分化されたマニュアルで管理すると、変更内容の確認やレビューも行いやすくなります。例えば、「店舗運営マニュアル」を作るのであれば、「開店準備と閉店編」「商品管理編」「接客編」のように金銭管理、在庫管理、接客教育に内容が分かれるような分冊化を図ると、管理しやすさと参照しやすさを両立できるマニュアルになるでしょう。

以上のように、業務マニュアルには変化に対応しやすい柔軟な構造を意識した設計が求められるのです。



ツールを活用した運用

業務マニュアルの運用は、人やルールだけで維持することも可能です。しかし、運用対象となるマニュアルが増えたり、複数部署で共有したりする場合には、管理負荷が大きくなることがあります。

そのような場合は、文書管理機能や共有機能を備えたツールを活用すれば、更新や情報共有を効率化しやすくなります。

ただし、それらのツールは有償であり、サブスクリプションの場合が多く、導入費と毎年(月)の支払いが発生します。また、ツールはあくまでも運用を支援するための手段です。責任者や更新ルールが曖昧なままでは、どれだけ高機能なツールを導入しても運用は定着しません。

まずは運用の仕組みを整え、その上で自社に合ったツールを選択することが重要です。

バージョン管理

上記のような状況を放置すると、どのデータが最新版か分からなくなり、現場で誤った情報が参照される原因になってしまいます。

そういった状況を回避するために、バージョン管理が重要な運用施策として挙げられます。

マニュアルの表紙などに更新日や版数を明記するだけでも一定の効果がありますが、文書管理システムやクラウドサービスを利用すれば、変更履歴の記録や版管理を効率的に行うことができるでしょう。

しかし、前述のように文書管理ツールは導入費や年間費用が発生します。業務マニュアルのためだけにそれを導入することが難しい企業は多いでしょう。ツールを使うことなく、バージョン管理をするのであれば、以下のルールを徹底する必要があります。

業務マニュアルを組織の知的財産として運用するためには、コピーを増やさず常に最新版を共有できる環境を整えておくことが重要なのです。

通知・共有機能

マニュアルを更新しても、その変更内容が利用者に伝わらなければ意味がありません。

マニュアル管理ツールなどであれば業務マニュアルの一元管理が徹底され、リアルタイムで最新版を共有できるほか、更新時に利用者に一斉通知する機能を持つツールもあります。

もしもツールを導入しないのであれば、管理責任者はファイルが新しくなる都度に必ず全関係者に通知することが大事です。社内のルールが変わるわけですから、責任の重い工程です。忘れることなくすべての関係者、あるいは全社員に通知しましょう。



内製運用の限界と外注の検討

業務マニュアルの運用は社内で継続できることが望ましいのですが、日常業務を優先する中で、更新作業まで継続的に対応することは簡単ではありません。

特に、マニュアルの対象範囲が広い場合や、複数部署にまたがる運用を行っている場合は、大がかりな更新作業になり、リソース不足が発生して大きな負担になることが予想されます。

ここでは、内製運用で発生しやすい課題と、外部パートナーを活用する考え方について紹介します。

継続運用の難しさ

業務内容の変更、組織改編、法令改正、システム更新などに合わせて、業務マニュアルは継続的に見直していく必要があります。

しかし様々な理由から更新頻度が低下していくことがあります。

更新頻度が下がると、現場の運用とマニュアルの内容にズレが生じ、そのズレが大きくなるほどに活用されなくなります。

マニュアル運用において「更新できる体制を維持すること」はとても重要です。しかし、リソースは限られています。可能な限りの省力化を意識したデータづくりと体制づくりを目標にしましょう。

外部パートナー活用のメリット

業務マニュアル運用の省力化を考えた時、一時的にリソースを増やす、つまり更新作業を外部パートナーとして制作会社に依頼することは、有効な選択肢のひとつと言えます。

制作から更新まで一貫して制作会社に依頼することで、省力化はもちろん、高品質なマニュアルの継続運用を実現することができます。

外部に「更新作業者」を置くことで、リソースを従来業務に集中させたまま、業務マニュアルの更新作業も並行して進めることが可能になるので、無理なく継続運用を維持できます。

「作るためのパートナー」であり、さらに「育てるためのパートナー」として相応しい制作会社を選択すると良いでしょう。



まとめ

業務マニュアルは、鮮度を保ち続けるために人が手を加え続けなければいけません。

業務や組織の変化に合わせて更新され続けることで、業務品質の維持や属人化の解消、人材育成といった効果を発揮します。それは業務が続く限り続いていくのです。

しかし、更新作業を個人の努力や善意に任せているだけでは、継続的な運用は難しくなります。

そのため、

といった組織的な仕組みづくりが重要になります。

業務マニュアルは、創業以来企業が身につけてきた知識やノウハウが蓄積された、未来につなぐべき財産です。技術の進化と企業の発展を反映し、常に更新され続けなければいけません。そのためにも業務マニュアルを制作する時には、それを運用し続ける仕組みの整備もまた十分に意識して取り組みましょう。

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