業務マニュアル制作を外注するメリットと選び方
業務マニュアルの重要性は理解していても、「作る時間がない」「何から着手すればよいか分からない」といった悩みを抱えていませんか?
業務マニュアルの制作には、現場へのヒアリングと情報整理、文章作成、レイアウト設計など、多くの工程が必要です。そのため、リソースが不足して停滞したり、途中で頓挫してしまったりするケースもあります。
こうした課題を解決する方法のひとつが、業務マニュアル制作の外注です。
制作会社に依頼することで、社内の負担を軽減しつつ、分かりやすく運用しやすいマニュアルを整備できます。
本記事では、業務マニュアル制作において外注を必要とするケースの紹介やメリット・デメリット、制作会社を選ぶ際のポイントについて解説します。
マニュアル制作を外注する理由
業務マニュアルは社内のルールブックのようなもの。だから本来は社内スタッフで制作することが可能なはずです。しかし、実は弊社のような制作会社に依頼される企業も少なくないのです。
ここでは、企業が業務マニュアルの制作を外注する代表的な理由を紹介します。
内製の限界
業務内容を最も理解しているのは現場作業者ですが、彼が分かりやすいマニュアルを作れるかどうかは別の話です。
現場作業者は日常業務に精通しているが故に、その知識や行為、意図が当たり前になっており、初心者に伝わる形に情報整理できない場合があります。
さらに複数の作業者が関わる業務の場合は、現場主義が災いして業務フローや判断基準が人によって異なることもあります。この場合、内容の整理だけでも大きな負担になり、作業が停滞する可能性も出てきます。
「情報が整理しきれない」「書く人によって品質がばらつく」「作成途中で止まってしまう」などといった問題は、マニュアル制作のノウハウのない環境では、どうしても発生する問題です。
第三者にも分かりやすく伝わる高品質な業務マニュアルの制作には、業務知識だけではなく、それらの情報を整理・再構築する力や、一定レベル以上の文章力と編集力が求められるのです。
リソース不足
業務マニュアル制作を外注する最多の理由は「リソース不足」です。
業務マニュアル制作には、多くの工程が発生します。少なくとも、現場ヒアリング、情報整理、原稿作成、図表作成、編集、レビュー、修正対応などの工程をこなさないと業務マニュアルは完成しません。
多くの企業の場合、マニュアル制作の担当者には本来業務と並行してこれらの作業を進めることが求められます。もちろん日常業務を優先しなければならないので、マニュアル制作の作業は後回しにされます。このため完成までに長い時間がかかってしまいます。
完成すればまだしもです。担当者の異動や退職によって、制作そのものが中断してしまうこともあるのです。
つまり従来業務と並行して業務マニュアルの制作を進めることができるように、人員と時間を確保しなければならず、多くの企業は外注先にそれを求める必要があるのです。
外注のメリット
業務マニュアルの制作を外注することには多くのメリットがあります。
ここでは、それらのメリットを紹介します。
品質の向上
業務を熟知している現場作業者であっても、その内容を第三者に分かりやすく伝えることは簡単ではありません。
高品質な業務マニュアルとは、第三者にもわかりやすい業務マニュアルであり、その制作には3つ要素が必要です。
1つめはノウハウです。
例えば「情報量が多い」「業務フローが複雑」「複数部署が関わる」業務の場合、ヒアリングによって収集した膨大な量の情報を整理し、読者目線で再構築する必要があります。この独特な作業には十分な経験に基づいたノウハウが必要です。
2つめは技術です。
特に文章力は重要です。やさしい日本語で論理的な文章を書く技術が必要ですが、一般的にそれができる人材が意外なほど少ないように感じられます。その他、図表を作る技術や、編集する技術ももちろん重要です。
3つめは設備です。
Adobe Indesignが編集作業に最適なツールですが、制作会社でもなければそれは望めません。しかし編集に向いているツールとしては、一般的な企業でも多くの場合PCとMicrosoft Wordが導入されていることでしょう。ただ、これまでの経験上、Wordの編集機能を使いこなせない人が非常に多い印象があります。制作の担当者にはWordの熟練者を充てる必要があります。
これら3つの要素が制作会社には揃っており、高品質なマニュアルを制作できる体制が整っているのです。
業務負担の軽減
多くの工数が発生する業務マニュアルの制作には、想像以上に多くの労力と時間が必要です。
外注を活用することで、マニュアル制作の担当者は多くの工程から解放されて、ヒアリングや内容確認に集中できます。これにより従来業務への影響を抑えながらプロジェクトを進めることができます。
人員と時間を確保されるため、制作期間も内製の場合よりも短縮され、マニュアルの早期運用が実現します。
客観的視点の導入
業務マニュアル制作において、第三者の視点は大きな価値を持ちます。
業界未経験の新入社員がマニュアルを理解して業務を進められるほどのユーザビリティが、業務マニュアルには求められるからです。
現場作業者は業務を熟知している一方で、「当たり前になっている知識」に気付きにくいことがあります。
例えば、以下のような業務マニュアルは、現場作業者の備忘録レベルのマニュアルと言わざるを得ません。
- 専門用語の説明がない
- 判断基準が記載されていない
- 例外対応が省略されている
新人や新任者にとっては、これらこそ必要な情報であり、彼らが理解できることが業務マニュアルに必須の品質なのです。
外部の制作会社は、業務を知らない第三者の立場からヒアリングを行うため、「それは説明が必要ではありませんか?」という視点で情報を整理できます。
また、複数の企業や業種のマニュアル制作に携わった経験を持つ制作会社であれば、属人化しやすいポイントや、現場で活用されやすい構成についての知見を活かしてくれることでしょう。
客観的な視点を取り入れることで、社内だけでは気付きにくい課題や改善点を発見でき、より実用的なマニュアルづくりにつながります。
外注のデメリットと対策
業務マニュアル制作の外注には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。
外注すれば自動的に良いマニュアルが完成するわけではなく、依頼する側にも一定の準備や協力が必要です。
しかし、多くの課題は事前の計画や進め方によって軽減することができます。
ここでは、業務マニュアル制作を外注する際によく挙げられる課題と、その対策について紹介します。
コスト
外注を検討する際、最も気になるのが制作費用です。
業務マニュアル制作には、以下のような多くの工程を伴い、それらのボリュームに応じた金額が見積もりに加算されます。
- 現場ヒアリング
- 情報整理
- 構成設計
- 原稿作成
- 図解作成
- デザイン
- 編集
そのため、一定のコストが発生することは避けられません。ただし、担当者を中心に社内で準備できる工程も多く、それらの資料などの提供により、見積もりを安くする制作会社が多いでしょう。
一方、出費に見合う利益があることを忘れてはいけません。
- 担当者の工数削減
- 教育時間の短縮
- 業務品質の安定化
- 属人化リスクの低減
高品質の業務マニュアルがもたらす効果を考えると、長期的には大きな利益へとつながるケースもあります。
制作を代行してもらう費用としてだけで考えるのではなく、マニュアル整備によって得られる効果や将来的な運用コストも含めて検討してください。
情報共有の難しさ
もう一つの課題が、制作会社への情報共有です。
社外の制作担当者は、自社の業務内容や社内ルールをまったく知らない状態からプロジェクトを進め始めます。そのため、必要な情報が十分に共有されないと、意図と異なるマニュアルができあがる可能性があります。
また、下記のような状況では、情報整理に時間がかかることもあります。
- 関係者ごとに認識が異なる
- 業務フローが整理されていない
- 担当者によって説明内容が違う
これらの課題を解決するためには、社内担当者が情報の交通整理を行い、制作会社とのコミュニケーションに注力することが重要です。
例えば、
- 現場担当者へのヒアリングを実施する
- レビューの意見をまとめる
- 制作の目的や活用方法を事前に共有する
といった取り組みによって、認識のズレを減らしやすくなります。
業務マニュアル制作は発注側と制作会社が協力しながら進めることで、より実用的な成果物につながるのです。
制作会社の選び方
業務マニュアルの制作を外注する場合、どの会社に依頼するかによって成果は大きく変わります。
同じ業務内容を扱ったとしても、制作会社によって情報の整理方法や表現方法、プロジェクトの進め方は異なります。
そのため、費用や納期だけで判断するのではなく、自社の目的や運用方針に合ったパートナーを選ぶことが重要です。
ここでは、制作会社を選ぶ際に確認しておきたいポイントを紹介します。
実績・専門性
まず確認したいのが、業務マニュアル制作の実績や専門性です。
制作会社によっては、パンフレットやWebサイトなどのプロモーション系制作物を中心に手掛けている場合もあれば、マニュアル制作を専門分野としている場合もあります。
業務マニュアルには、
- 現場作業者へのヒアリング
- 情報の整理
- 業務フローの可視化
- マニュアルに求められるやさしい日本語での文章執筆
など、一般的なデザイン制作とは異なるノウハウも求められます。
マニュアル類の制作実績は、情報セキュリティ上、Webサイトで公開していない場合が多いので、初回打ち合わせの際に、過去の制作実績や対応してきた業種、制作事例などを提示してもらえるよう願い出ると応じてもらえます。自社の課題に近い経験を持っているかを見極めた上で検討しましょう。
ヒアリング力
業務マニュアル制作では、ヒアリング力も重要なポイントです。
なぜなら、マニュアルの品質は現場の情報収集によって大きく左右されるからです。
現場作業者の説明をそのまま文章にするだけでは、本当に必要な情報が抜け落ちてしまうことがあります。
- 判断基準が明文化されていない
- 例外対応が共有されていない
- 担当者ごとに手順が異なっている
以上のような課題は、丁寧なヒアリングを通じて初めて見えてくることも少なくありません。
そのため、「言われたことをまとめる会社」ではなく、「業務内容を整理しながら必要な情報を引き出せる会社」を選ぶことが重要です。
業務マニュアル制作のフローをお訊ねになれば、その制作会社がヒアリングをどれだけ重要視しているかが見えてくるでしょう。
運用まで見据えているか
業務マニュアルは、完成したら終わりではありません。
実際に活用され、更新され続けて初めて価値を発揮します。
そのため、制作会社を選ぶ際には、「どのように作るか」だけでなく、「どのように運用するか」まで考えているかを確認することが大切です。もっとも、マニュアル制作に慣れている制作会社であれば、むしろ彼らから運用方法について質問されるかもしれません。
例えば、
- 更新しやすい構成になっているか
- 管理方法まで提案してくれるか
- 教育や引き継ぎでの活用を想定しているか
といった視点を持つ制作会社であれば、完成後の運用もスムーズに進めやすくなります。詳しく知るためにも、初回打合せには営業担当だけではなく、ディレクター候補者の同席を求めてみるのもよいでしょう。
業務マニュアルの目的は、文書を作ることではなく、業務品質の維持や属人化の解消、教育の効率化を実現することです。だからこそ、制作物そのものだけでなく、その先の運用まで見据えて提案してくれるパートナーを選ぶことが重要と言えるでしょう。
まとめ
業務マニュアルの整備は、業務の標準化や属人化の解消、人材育成の効率化につながる重要な取り組みです。
しかし、情報整理や原稿作成に多くの時間と労力が必要となり、社内だけでは思うように進まないケースも少なくありません。そのような場合には、制作会社に外注することで社内負担を抑え、より分かりやすく実用的なマニュアルを整備できる方法もあります。
制作会社を選ぶ際も、見積もりだけで判断するのではなく、現場の業務を理解し、運用まで見据えた提案ができるかという視点で検討することが大切です。
業務マニュアルを組織の知的財産として活かすためにも、自社に合った方法とパートナーを選び、継続的に活用できる仕組みづくりを進めていきましょう。