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デザイン料金とDTP料金の違い

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デザイン料金とDTP料金の違い

DTPってなに?

印刷物の制作を外注した際、見積書や請求書に記された明細って確認していますか?
多くの場合、制作料と印刷料とで大別されていて、制作料の内訳として「原稿作成料金」や「デザイン料金」などの作業項目が並んでいると思います。一部、営業判断で複雑な割引方をした場合、「作業一式」でまとめられていることもあるかと思いますが、それは特殊なパターンだとお考えください(笑)

さて、制作料の作業項目に「DTP料金」と記されていたことはありませんか?
制作会社などとあまり接点がない方には耳慣れない言葉だと思います。
DTPとは“Desktop publishing”の略で、平たく言うと印刷物のデータを作成する事を指します。
余談ですが、初音ミクなどによって、世間的にはDTM(Desktop music)の方が有名ですね。このDTMはDTPをもじって生まれた言葉なんです。

ところでDTPの意味をご存知の皆さんならば、明細を確認して、
「ん?“デザイン料金”と“DTP料金”がどちらも計上されてるけど、“デザイン作業”って“印刷物のデータを作ること”とは違うの?」
と、疑問に思われたことがあるのでは?中には何となく受け入れていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「印刷物のデータを作る」という、同一の作業にも思われる「デザイン」と「DTP」。いったいどのような違いがあって明細が分かれているのでしょう?




そもそもデザインとは?




広辞苑(第七版 岩波書店)によると、デザインとは


製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。


とあります。

制作会社が担うデザイン作業もまた単に見た目を整えるだけではありません。成果物が担う目的や計画性を加味して情報を整理し、対象ユーザーを考慮した色彩、装飾、配置、材質などを総合的に計画し、具体化する作業です。
ただ、料金分類的には、「企画・構成」と「デザイン」とで分けられている場合が多いですね。その場合、デザイン料金は「コンセプトを視覚的に落とし込んだデータを作成する作業代金」であり、データ作成以外の企画や計画などの思考作業は「企画・構成」に分類されます。

・・・・・・「データを作成する作業代金」ということは、「やっぱりDTPと同じ?」という疑いがますます深まっちゃいました(笑)

DTPの本当の意味

「DTPとは印刷物のデータを作成する事」と冒頭で紹介しましたが、そこには深い意義が含まれています。
DTPつまりDesktop publishingを直訳すれば「卓上出版」となります。
DTPが誕生する前、出版には大勢の職人のチカラが必要でしたが、その状況を「卓上出版」に一変させた技術がDTPなのです。

一体、どのような作業をDTPが受け継いでいるのかを理解するために、DTPが誕生する前、1980年代のページ物印刷の印刷工程を見てみましょう。




  1. 企画・構成にあわせて、原稿や写真、イラストを用意する
  2. デザイン、編集
    レイアウトや色指定などを指定した原稿を作成します。多くの場合、プロダクションやデザイン事務所が請け負っていました。
  3. 版下(はんした)作成
    デザインをもとに、写植(写真植字)により、文字が配置されている版下(印画紙)を作成します。この時点で写真・図柄などはまだ載っていません。それらが配置されるスペースが確保されているだけの状態です。写真植字機という専用の機械と技術者が必要だったので、版下屋さんという専門の会社がありました。
    写植技術が生まれる前は、一文字ずつ活字を並べ、テキストボックスをハンコにしたような版を組み上げていました。この作業を組版(くみはん)と呼び、職人ともいうべき技術者が必要不可欠でした。
  4. 製版(せいはん)
    版下を元に、写真などを取り込んで製版フィルムを作ります。デザイナーが指示した写真のトリミングや色指定が、ここでようやく形になります。製版専門の会社もあったようです。
  5. 印刷
    製版フィルムから本刷り用の刷版(さっぱん)を作り、印刷します。既にオフセット印刷が主流でした。
  6. 製本
    印刷されたものをページ構成に合わせてまとめ、本の形にして完成です。

このようにかつてはたくさんの業者や専門職のみなさんがそれぞれの技術を出しあっていた制作工程でしたが、DTPの普及とそれに対応した印刷技術の進化により、1~4を制作会社またはデザイナー1人がデータとして作り上げ、印刷会社は製版フィルムを作らなくてもデータから直接刷版を作成し、印刷することができるようになりました。
デジタル化によりスピードアップと高効率化が実現し、業界の仕組みそのものが変化したんですね。まさにDX(デジタルトランスフォーメーション)でした。

DTPの仕事には2種類あるんです!

印刷工程の多くをデジタルデータ作成として担うようになった制作会社ですが、社内での作業は2つに分けられます。それぞれの作業に携わる職種は、

DTPデザイナー

DTPオペレーター

となります。

DTPデザイナーは前述のデザイン作業を行います。ページ物の全ページではなく、セクションごとのテンプレートを作成します。彼の行った作業が「デザイン料金」となります。

DTPオペレーターはデザイナーの作成したテンプレートに、テキストや画像を配置し、最終的な印刷データに仕上げます。しいて言えば、版下(組版)と製版を足した作業といえます。彼の行った作業が「DTP料金」となります。

実際は、中小企業の場合や制作する印刷物が数十ページ程度の案件の場合、両方とも同一人物が作業することが多いのですが、作業費はそういう考え方で単価を分けています。



具体的な例として、部品表や価格表、商品カタログが分かりやすいでしょう。
それらはほとんどの場合、同じレイアウトのページが何ページも続きます。例えば価格表なら商品名、型式、品番、価格、備考などで構成された表組が何ページも続くわけですが、デザイナーはその表組やフォントの種類と大きさ、周囲のあしらいや色指定など、視覚的なすべてを考案し、最初の見開きを制作します。それをテンプレートとして、続きのページからはDTPオペレーターが商品情報や写真などを配置していくわけです。作業難度の違いにより、一般的には「デザイン料金」の方が「DTP料金」よりもページ単価が高くなります

また、ペラ物や、各見開きページで全く見せ方が異なるようなページ物の場合は、テンプレートがつくれないので、全ページに「デザイン料金」が必要になり「DTP料金」が発生しません

※ 異なる解釈の制作会社もあるかもしれません。見積りや請求書に疑問を感じたら直接お問い合わせすることをお勧めします。

デザイン料金は「DTPデザイン料金」の略だとお考えいただくといいでしょう。
一方、DTP料金は「デザインを含まないDTP料金」の略とお考えください。こちらは会社によって「DTP組版料」や「編集料金」など様々な呼び方があるのが実情です。当社では「DTP料金」となります。


デザイン料金とDTP料金の違いについてご理解いただけたでしょうか?
なにぶん普段耳慣れない専門用語の多い業界ですので、当社に制作をご依頼いただいた際、見積書や請求書でご不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

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