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知っておきたい、ロゴのこと

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知っておきたい、ロゴのこと

ロゴとは何か?

・・・なんて書いてあると哲学的に見えますね(笑)
「パソコンとは何か?」とか「スマホとは何か?」って問われると「知らない人がいたのか」と驚くほど身近なものですが、ロゴもまた同じで、大多数の人がロゴと聞くと「アレのことでしょ」とイメージできると思います。それほどに私たちの周りには企業ロゴや商品ロゴがあふれています。

ロゴとは会社名や商品名などを独特の字体やデザインで表したもので、視覚的に独自性を打ち出すことができることから、ブランディングの基本的なデザインワークとして位置づけられています。
そんなロゴについて、マーケティングやデザインスキル的な説明は、他社のページにたくさんあるのでそれを見ていただくとして(笑)、ここでは制作会社の立場から見た、何かと役立つことをお話しいたします。







日本ではロゴマークで

記事の冒頭から「ロゴ」と書いていますが、辞書を開くとロゴはロゴタイプの略語と記載されています。つまり、辞書的にはロゴタイプが正式名称。しかし、この仕事をしていてお客さまの口からロゴタイプと聞いたことはほぼ無く、ロゴ、あるいはロゴマークとおっしゃられる方がほとんどです。一方で英語圏ではLogo type またはLogoと呼びます。実はLogo-Markは和製英語なんです。

何が正しいと書くつもりは毛頭ありませんが、多くのロゴマーク制作のサイトではシンボル(マーク)とロゴタイプのセットをロゴマークとして商売しているので、同じように覚えてもらうと国内では商談がスムーズになるでしょう。





ロゴマーク

上の図のようにシンボルやロゴタイプのこと、またはその組み合わせを指す広い範囲を示す言葉です。「ロゴマークを作って」と注文を受けると、どれを作りましょうとお聞きすることになります。
有名企業ではトヨタ、アディダス、ナイキなどはシンボルとロゴタイプの両方が認知されており、それらを組み合わせて使っている機会もよく見られます。


シンボル(マーク)

企業を象徴するマークのことです。スポーツチームのエンブレムなどもこれにあたります。ブランディングが十分に熟すと、マークだけで企業を判別できるまでになります。Appleやマクドナルドのシンボルはあまりに有名ですね。シンボルだけでその品質やサービスへの信頼感や期待感を感じさせる状況が、ブランディングの完成形といえるでしょう。


ロゴタイプ

会社名や商品名の文字列を意匠化したものですが、シンボルとしても用いれるような秀逸なロゴタイプもあります。ユニクロやJTなんかはまさにそうですね。
また、シンボルを持っていない企業はたくさんあります。ちゃんと調べたことはないんですが、むしろそんな会社の方が多いと思います。任天堂やソニー、コカ・コーラ、カルビーなどなどたくさんの会社がロゴタイプだけを使用しています。

また、上の図の一番下のように、シンプルな文字列のロゴタイプを別途制作依頼される例が、非常に多いです。これはプロモーションで使うロゴタイプと、見積書などの社外文書で使うロゴタイプとを使い分けたい企業が多いためです。
余談ですが、この場合、既存フォントをそのまま使うことはありません。元になるフォントはもちろんありますが、それをアウトライン化し、各種調整と一部形状変更が施されています。デザイン性よりも文字の識別が優先されるのであまり目立ちませんが、実は唯一無二の字体なのです。

企業ロゴの理想と現実

「企業のロゴマークにはその企業の理念やビジョンなどがデザインに込められているべきです」
と、いうような文章をこれまでたくさん読みました。「ロゴ(マーク)」をキーワードにこのページにたどり着いた皆さんも、他のサイトで読んだことがあるのではないでしょうか?

唐突ですが、会社のロゴマークって皆さんの会社ではいつ作りました?
時間の話ではなく、タイミングの話です。当然ですが、多くの場合は起業の際に作られます。内作にせよ外注にせよ、バタバタとして余裕がない時期に作らないといけない状況が容易に想像できます。
ロゴマークができなければ、看板も名刺も封筒もホームページも完成しません。急いで作ってもらう必要がある上に、起業時には他にやる事も考える事も山ほどある。理念やビジョンもざっくりとしていてまとまらず、ロゴに込める想いなんてピンとこない。
そのためだと思いますが、お客さまにヒアリングをしても「会社の目標は儲かること、成功する事。とりあえず今風のシュッとしたデザインでよろしく」というような返答が多いのが現実です。



ここから先は大きな声で言うと立派なデザイナーの方々に怒られそうですが(笑)、そんな場合、企業の想いをロゴデザインに込めるというデザイナーの理想論は脇に置きます。許容範囲内で形を整えてしまう方が、何よりもお客さまを助けることになるはずです。デザイナーのエゴイスティックな意気込みよりも、お客さまのスケジュールの方が大事です。
お客さまの立場になれば、事務所の契約が済めば備品を搬入して、電話が開通したらすぐにでも営業活動を開始したいはず。そのタイミングに合わせて、必要なデザインワークすべての準備を完了する事が制作会社の使命です。

多くのデザイナーはロゴマーク制作にかける理想をぐっと飲みこんで、見た目だけでもお客さまが愛着を持って永く使ってくれそうなロゴマークをデザインし、ご提案しているはずです。デザイナーなりの想いを込めて。
「本当は会社の理念やビジョンがデザインで表現できている方がいいけど」なんてことを、デザイナーはみんな思っているんです。

「名もないデザイナーの言い訳記事か」と思われても仕方がない流れですが(笑)、本当に言いたい事は次のこと。つまり、
その企業ロゴ、変更しませんか?

ロゴマーク変更のススメ

ロゴマークは一生モノではありません。
ブランディングの観点からコロコロと変えるべきではありませんが、節目節目でロゴマークを2回3回と変更している企業はいくらでもあります。

経営が安定した今だからこそ言語化できる想いがあるはずです。たくさんの経験を経て見えてきたものもあるはずです。さらなる挑戦の意欲であったり、変化する社会での立ち位置や目標の再確認であったり、起業時には浮かぶはずのない想いや理念が、経営の中で育まれているはず。そういった思いや考えを整理して、ブランディングも軌道修正する必要がでてきます。リブランディングと呼ばれるこの作業の中で、起業時にはなかったコーポレートアイデンティティ(CI)を初めて作成する企業も少なくありません。

新たな理念、社会貢献への想い、ビジョンなどについて時間をかけて整理し、企業の象徴として相応しいロゴマークを改めて創作し、企業のさらなる成長や躍進を社会にアピールする。そんなタイミングが貴社にも必ずあります。ひょっとしたら今がそのタイミングなのかもしれません。その時にこそ、じっくりと話を聞かせていただき、理想通りの「想いの詰まったロゴマーク」づくりをお手伝いさせてください。

なぜロゴマークの制作料金は高いのか?

皆さんうすうす気がついていると思いますが、印刷物の制作料金と比べると、ロゴマーク制作の料金を高額に設定している制作会社が多いです。これって何故でしょう?

制作会社が請け負う依頼は成果物の納品により契約満了となります。具体例で言うと、チラシ制作の依頼の場合は指定枚数のチラシを指定場所に納品すれば契約満了となります。
この時、チラシの印刷に必要な各種データは制作会社の知的財産として認められており、クライアントへの譲渡義務はありません。それらをクライアントが手に入れるには、著作権の譲渡に関する別途契約が必要となります(「編集データの譲渡について」参照)。

さて、チラシをはじめとする印刷物とロゴマークとでは、その使用目的に大きな違いがあります。
印刷物はユーザーの手に渡ることで情報を伝達することが目的です。だから、著作権(編集データ)がなくても目的を達することができます。
一方、ロゴマークは様々な媒体に掲載することで、企業あるいは商品・サービスの独自性を視覚的に表明するのが目的です。名刺や封筒、チラシ、カタログ、会社案内、ホームページ、様々な媒体での使用を大前提としています。このように同一データを他の案件に流用することを2次利用といい、利用者が著作権を持つか、著作権者から案件ごとに2次利用の許可をもらわない限り、「著作権法違反」と判断されます(「2次利用について」参照)。そういった法的な背景とロゴマークの利用目的を考慮すれば、ロゴマークの制作依頼を受けた場合は著作権の譲渡を前提として依頼を受けるのが制作会社の良心といえます。

こういった事情から、ロゴマークの制作料金には「著作権の譲渡料金」が含まれているのが一般的です。一方で印刷物はその利用目的から著作権は必要不可欠ではないので、それらの制作料金には著作権の譲渡料金が含まれていません。その為、両者を比較するとその格差が顕著なので、「ちょっとロゴ制作料金、高いんちゃう?」となるのです。



ロゴを安く作っておいて、あとで著作権の譲渡料金や2次利用料金を請求するような悪質な業者に引っかからないためにも、ロゴ制作をご依頼の場合は必ず「この料金で著作権ももらえるやんな?」と確認するといいですね。

ロゴマークの納品

ロゴマーク制作の依頼時にクライアントが確認しておきたいことと言えば、「納品されるのはどんなデータか?」ということも挙げられます。

ロゴマークの利用は名刺やチラシに限りません。社内文書やお客さま向けの企画書はもちろん、会社運営のSNSでも使うかもしれません。つまり、会社の広報部や制作部、外注先である制作会社だけが利用するのではなく、あなた自身がロゴマークを使用する機会があることを考えないといけません。

あなたは日々の作業でどんなアプリケーションを使っていますか?
Adobe Illustratorを使っている、という返答は少数派だと思います。多くの企業ではMicrosoftのWordやExcel、PowerPointの利用が主流です。
そんな状況を考慮すると、ロゴマークのデータ形式はJPEGかPNGが使いやすいでしょう。もちろん、各種印刷物を制作する為にもAIファイル(Illustratorファイル)は必須です。

普通の制作会社ならばロゴマーク制作依頼に対してAIデータ(またはIllustratorで編集可能なPDF)を必須として納品してくれます。その他の画像データ(JPEG、PNGなど)を付けてくれるかどうかは事前に確認・交渉しておくといいですね。
実はAIデータを持っていないというお客さんも実際にいらっしゃいました。制作費は安かったと想像できます(著作権がうやむやになっているのでは?)が、そのロゴを制作した会社にとっては、お客さんから発生する印刷物制作を独占するためのワザなのかもしれません。後々のことを考えれば、AIデータは持っていた方が絶対にいいです。制作を依頼する際には、納品データの種類についてご確認をしてから依頼する事をお勧めします。
ちなみに、AIデータではなくIllustratorで編集可能なPDFで納品されることもあります。ロゴのAIデータなんてあったかな?という方はPDFも探してみてください。

当社では以下の各種データをセットとして納品しております。


AIファイル

制作会社に支給して様々な媒体に配置できます


JPEGファイル

フルカラーとグレースケールの2タイプ


PNGファイル

背景透過画像。フルカラーとグレースケール、白抜き用の3タイプ


ロゴマークについて、クライアントが知っておくと交渉に役立つことを中心にお話しいたしました。いかがでしたでしょうか?ご依頼はもちろんありがたいですが、お問い合わせだけでもうれしいです。ロゴマーク制作に関する事でしたら、些細なことでも是非お気軽にご相談ください。

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